【ヒデ巡ってインテルvsミラン“ミラノダービー”】

日本代表MF中田英寿(26)の有力移籍先に、セリエAの名門インターミラノが8日に急浮上した。地元紙が一斉に報じたもので、日本の大手広告代理店と契約し、石油王をオーナーとするセリエA最高の資金力を誇る名門が中田の実力と背後のアジア市場に食指。本命視されていたACミランと、日本の至宝をめぐる“ミラノダービー”が勃発だ。
今オフの移籍市場最大の目玉となった中田の去就がまたも急展開だ。8日付「ガゼッタ・デロ・スポルト」などのイタリア紙が一斉に中田のインターミラノ移籍の可能性を報道。本命視されていた中田ミラン誕生に“待った”をかけた。
各紙によると、日本の最大手広告代理店「電通」と契約を結んでいるインターミラノは中田の持つ日本などアジア市場での絶大な影響力に注目。5年間、セリエAのトップで活躍し続けた実力と技術も高く評価しているという。
中田については、本人が希望するプレミアシップなどへの移籍が、高額な移籍金(約20億円)で暗礁に乗り上げるなか、パルマと業務提携の関係にあるACミランへの交換トレードが有力になっていたが、強力な対抗馬が登場した。
インテルといえば、ビエリ、クレスポ、昨季レアルに移籍したロナウドら、毎年世界最高級の選手を破格の移籍金で次々と獲得する金満クラブ。デフレ市場と負債に苦しむセリエAで唯一超バブル路線を突き進む石油王のマッシモ・モラッティ会長(58)は95年に35億円でクラブを買収し、会長に就任して以来、強化費に800億円を投入したとも言われる道楽家で、パルマが求める約20億円の移籍金の支払いも容易。ガゼッタ紙はインターミラノパルマ側にパラグアイ代表DFガマラ+500万ユーロ(約7億円)を提示する可能性も指摘した。
何より注目されるのがACミランとの不倶戴天のライバル関係。ミラノの同じ大スタジアムを本拠地としながらミランサンシーロインテルジュゼッペ・メアッツァと名前まで呼び変えるイタリア最大のライバルだけに、「中田=ミラン」の流れに反発して強奪に乗り出した可能性も高い。
約100年の歴史を誇る「ミラノダービー」の死闘のターゲットとなったのも、それだけの大選手と認められた証明。「中田はミランなら喜んでいく」と契約するブランキー代理人のパートナー、パラビチーノ氏は語ったが、去就問題はいよいよ予断を許さなくなってきた。

ミランなら喜んで移籍する」
中田と契約する代理人ジョバンニ・ブランキーニ氏のパートナー、カルロ・パラビチーノ氏が7日夜、ミラノの地元テレビ局「テレ・ロンバルディア」のインタビューで注目発言。「ミランが最近中田に冷めた? パルマミランは交換条件を決めなければいけない。専決事項はチーム間の条件で、中田の契約金についてはまだ話していない。中田はミランなら喜んで移籍する」と、中田がミラン移籍に前向きである事実も明らかにした。もっとも、同氏は、「問題解決ならばミランに行くが、それができなければパルマに残る。パルマ残留の場合も問題ない」とも。「それ以外のオファーが来れば、それから検討する。英国? 話があればいいが、現在ではプレミアにも経済的な問題があり、移籍の交渉には時間がかかる。我慢強く、時間の経過を待たなければいけない」と長期戦も示唆した。
マンUは撤退?
マンUは中田獲得レースから撤退? イングランド代表MFベッカムの移籍後の補強が注目されるマンチェスター・ユナイテッドの強化責任者のピーター・ケニヨン氏が8日までに「わがクラブが獲得する選手は最高のレベルでなければいけない。日本人選手を獲得し、ベンチに置いておくことは賢い補強とは言い難い」と話した。日本人最高のMF中田といえど、プレミアシップ覇者で先発確保は至難。中田がベッカムの後継者となる可能性は低くなった。
リバプールチェルシー? 伊紙も混乱
中田の移籍問題では、地元イタリア紙も混乱。6月14日付けで、イタリア各紙がパルマミランの首脳が会談と伝えて始まったACミラン本命説だが、25日にはイタリア紙ガゼッタ・ディ・パルマ紙が、プレミアシップリバプールが中盤の補強に中田を熱望との報道も。7月5日付けのコリエレ・デロ・スポルト紙は、「ACミランは、先発の16人以外から交換トレードを画策」、ガゼッタ・デロ・スポルトは「中田のミラン入りの可能性は40%」。プレミアシップチェルシー入りの可能性も指摘されるなど、二転三転が続いている。

http://www.sanspo.com/soccer/top/st200307/st2003070901.html